白い壁やノートを見ると、蚊のようなものが飛んで見える症状を飛蚊症といいます。目の中の硝子体(しょうしたい)という透明な液体のところににごりができて、その影が網膜に映り、黒いものが見えます。
歳をとると硝子体はゼリー状から液状になり、体積が小さくなります。硝子体は膜(硝子体膜)で囲まれており、その硝子体膜が網膜と密着していますが、体積 が小さくなった時に網膜から剥がれます。その時に、硝子体膜に濁りができて、それが飛蚊症の原因になります。近視が強い人は20歳代から起こってきます。
もっとも恐いのが、網膜に孔(あな)があいて、そこから細胞などが飛び散って飛蚊症になっている場合です。網膜剥離の場合、放っておくと網膜がどんどん剥がれて物を見る大事な黄斑部まで剥がれてしまうと、手術しても視力がもどらないことがあります。
飛蚊症の検査をするときは、瞳孔(ひとみ)を広げる目薬を点眼して検査します。これを点眼すると、光が眩しく、ピントがあいません。約4〜5時間で自然 に、元通りになりますが、瞳が広がっている間は車の運転は危険ですので、控えていただかなくてはなりません。早急に治療が必要な病気もありますので、飛蚊 症が出た場合は診察を受けてください。